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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
名簿を見れば分る」
と猪股先生、甚だ覚束ない。
「先生、地方の中学校は何うでしょう?」
と今度は私の番だった。
「去年は知っている校長に牧君を売りつけたが、此年は何とも言って来ない」
「御存知の校長が大勢ございますか?」
「三人ある。皆明治学園を信用しているから、欠員があれば、屹度申込んで来る」
「来次第に御推薦を願います」
「宜いとも。しかし教師の方は免状がないと具合が悪いから、早く取ることだね」
「検定試験を受けます」
「君達は卒業してしまったから、もう学資が来ないんだろうね?」
「はあ」
と二人一緒に答えた。
「当分の間、寄宿舎にい給え。研究生として一時間でも二時間でも誰かの講義に出席すれば名目が立つ」
「はあ」
「こゝにいるくらいのことは何うにかする。考えて置くから、心配しないで、もっと勉強するんだね。商館へ行っても中学校へ行っても、君達の力じゃまだ/\骨が折れるぜ」
「はあ」
「実はこの間から総理とも相談中だ」
「駄目でしょう」
と野崎君が口を辷らせた。
「何故?」
「ジョンソン博士は同情がありません。金貧乏、恥でないと仰有るんです」
「しかし食わないじゃ生きていられない」