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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
一番になれますようにと拝む時丈けでは申訳がない。心願果しの意味も手伝って、これを心掛けた。しかし友達と話しながら歩いて、つい忘れることがある。そのまゝ気がつかないこともあったが、思い出すと駈け戻ってお辞儀をして来る。或日丁度それが、先生のお目に留った。
「河原さんは感心ですな」
と先生は褒めてくれたばかりでなく、教場で紹介して、
「皆さんはこれも河原さんをお手本にしなければなりません」
と修身科の材料にした。
私は同級生の模範丈けで満足せず、下級生の世話を焼いた。一年生は帰りに道草を食う。三々五々、彼方へ寄ったり此方へ寄ったり、決して真直に歩かない。蛇が蛙を呑むところへでも来合せようものなら、悉皆消化してしまうまで見ている。
「君達、お父さんやお母さんが待っているんだから、早く帰らなければいけませんよ」
と私はもう三年生だった。
「何でい?」
「何でいとは何ですか?」
「お前先生か?」
「先生じゃないけれど、道草を食っちゃいけませんよ」
「何でい?」
と一年生は礼儀を知らない。以来私の顔を見る度に、
「何でい?」
とやる。二年生も似たり寄ったりだ。或日のこと、私は二三名が路傍で犬の子を苛めているところへ追いついて、