轻松读懂日语经典作品
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
箱馬車と共に初対面だったから、好奇心が動いた。私達はかなり長く待たされた。真直ぐに立っているのが苦しくなって一寸姿勢を変えた時、私の肩が例の青年の肩に触った。すると青年は肘でグイッと私の胴を小突いた。私も今度は堪忍出来ない。利息をつけて小突き返してやった。奴が機会を覗って又小突く。私も小突き返す。二人の間に肘鉄砲の交換が数回あった。
「君、君」
と猪股先生が呼んだ。
「はあ」
と青年は私を差し置いて進み出た。何処までも横着な奴だ。序に一つ小突いて行ったんだから、私の方が借越になる。
「君は何誰ですか?」
「野崎です」
「丸尾君の御紹介ですね?」
「はあ」
「丸尾君はお達者ですか?」
「はあ、先生に宜しくと仰有いました」
「有難う」
「高等学部へ入学したいんで、郷里から願書と履歴書を出して置いたんですが、もう着いていましょうか?」
「待ち給えよ」
と猪股先生は机辺の棚から書類の綴りを取り出して、撥りながら、
「野崎喜三郎。これですね?」
「はあ」
「浜松中学校と。卒業は去年じゃありませんか?」
「はあ」
「今まで何をしていたんですか?」
「家で遊んでいたんです」
「去年何処か他の学校を受けたんじゃないですか?」