轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じょうちゅうのしも

城中の霜

山本 周五郎

「現代」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,828 字 · 26 页

青空文庫

「牢を出ると、其処で、春嶽侯から差遣わされた新しい衣服、裃に着替えた……これは申すまでもなく曾て前例のないことで、いかに左内どのが礼を篤くされたかお分りであろう」

「……忝ないことだと存じます」

「刑場へ直られてからは」そう云いかけて穆清はちょっと眉を顰めたが、直ぐ口早に続けた、「既に覚悟は決っている様子で、用意の筆墨を引寄せて辞世の詩を書かれ、極めて静かに、微笑さえ含んであっぱれな最期を遂げられた、太刀取りは獄吏でなく、特に某藩の士を選んでさせたが、此の者もさすがは一代の傑物と」

「暫く、暫くお待ち下さいまし」娘はふと眼をあげて云った、「それでは、辞世の詩を詠み、静かに笑って、死んだのでございますか」

「これがその辞世の詩だ」

穆清は反問には答えず、ふところから折畳んだ紙片を取出して娘の手に渡した、娘は少し退ってしずかにそれを披いたが、そのなめらかな皮膚に包まれた手は見えるほど震えていた。

苦寃難洗恨難禁、  俯則悲傷仰則吟

昨夜城中霜始隕、  誰知松柏後凋心

彼女はやや暫くその文字を瞶めたまま、その円い肩を波うたせていた。

香苗は間もなく因幡邸を辞した。