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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

午後二時頃暑いさかり、雑談会の立野智子氏来訪。これには、ちょっと、こまった。この人は、この日記をつけはじめた前日、即ち七月六日に、速達をよこして、インチキ文学ボクメツ論をやれ、という。先方が女なのだから、インチキ文学というのと、ボクメツというのが、なんとも、時世的に勇ましく、私は笑いがとまらなかった。女の方が勇壮カッパツ、凄すぎるよ。私はジャーナリズムの厭らしさにウンザリして、拒絶の代りに、勇敢無敵御婦人ジャーナリストをひやかす一文を草して、そくざに送ったのだ。

おとなしそうな娘さんなのだ。けれども、時にチクチク皮肉めき、なにか、素直ということが悪さを意味するとでも思っている様子で、どうも苦しい。痛々しい。インチキ文学ボクメツどころか、坂口安吾などというのが、本当はインチキそのものなので、私が偉そうに、先輩諸先生をヤッツケ放題にヤッツケているのなど、自分自身のインチキ性に対する自戒の意味、その悪戦苦闘だということを御存知ない。誰しも御自身のインチキ性を重々知ることがどんなに大切か、この人に語りたかったが、素直に受けてくれず皮肉られそうだったから、言わなかった。