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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

七月十五日

私の知らない矢田津世子、それは私の知らない私自身と同様に大切なのだと思うだけ。私自身の発見と全く同じことだ。私は然し、ひどく不安になっている。どうも荷が重すぎた。私は素子が恋をするような気がするのだが、それを書けるかどうか、私は谷村の方を主人公にして、それですませたい。私は素子がバカな男と恋をするような気がして、どうにも、いやだ。こんなことが気にかかるというのはいけないことだと考えている。

七月十五日(晴)

連日寒暖計は三十八度をさしている。例の如く、水風呂にもぐってはでてきて机に向うが、頭がはっきりしない。新日本社の入江元彦という詩人と自称する二十四、五の青年がきてサロンという雑誌に三十枚の小説を書けという。書くのは厭だと言うのだが、これが又、珍無類の人物で、育ちが良いのかも知れん、大井広介に似て、より純粋で、珍妙で、底ぬけで、目下稲垣足穂にころがりこまれて、同じ屋根の下にいるそうだが、彼は何一つ持たんです、と云う。大いにガッカリした顔である。フンドシの外は何も持たんです、という。彼は戸籍も持たんです、という。稲垣足穂に寝台をとられ、お前は下へねろ、というので、石の上へねたそうだ。