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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页
三
ことに近代文学に於て、文学が知性的になり、探求の精神が働くに順い、こういう歪められた文章も時には絶対に必要とされる場合も起るのである。
併し文章を故意に晦渋にするのも、畢竟するに、文章を晦渋にしたために小説の効果をあげ、ひいては小説全体として逆に明快簡潔ならしめうるからに他ならない。単に晦渋のために晦渋を選ぶことではないのである。
要するに小説は明快適切でなければならないものであるが、小説の主体を明快適切ならしめるためには、時として各個の文章は晦渋化を必要されることもありうるのだ。そして描写に故意の歪みを要するところに――換言すれば、ある角度を通して眺め、表わすところに――小説の文章の特殊性もあるのである。
なぜなら、小説は事体をありのままに説明することではない。小説は描かれた作品のほかに別の実体があるわけのものではない。小説はそれ自体が創造された実体だからである。そこから小説の文章の特殊性も生まれてくる。次にそのことを詳述しよう。
三
我々の平素の言葉は「代用」の具に供されるものである。かりに我々が一つの風景を人に伝えようとする。本来ならその風景を目のあたり見せるに越したことはないが、その便利がないために言葉をかりて説明するものである。