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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

実質的な便利な欲求を下品と見る考えは随所に様々な形でひそんでいるのである。

この歪められた妖怪的な日本的思考法の結び目に当る伏魔殿が家庭感情という奴で、日本式建築や生活様式に規定された種々雑多な歪みはとにかくとして、平野謙などという良く考える批評家まで、特攻隊は女房があっては出来ないね、などとフザけたことを鵜呑みにして疑ることすらないのである。女房と女と、どこが違うのだろう。女房と愛する人と、どこに違いがあるというのか。誰か愛する人なき者ありや。鐘の音がボーンと鳴ってその余韻の中に千万無量の思いがこもっていたり、その音に耳をすまして二十秒ばかりで浮世の垢を流したり、海苔の裏だか表だかのどっちか側から一方的にあぶらないと味がどうだとか、フザけたことにかかずらって何百何千語の註釈をつけたり、果ては奥義書や秘伝を書くのが日本的思考の在り方で、近頃は女房の眉を落させたりオハグロをぬらせることは無くなったが、刺青と大して異ならないかかる野蛮な風習でもそれが今日残存して現実の風習であるなら、それを疑るよりも、奥義書を書いて無理矢理に美を見出し、疑る者を俗なる者、野卑にして素朴なる者ときめつけるのが日本であった。