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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页
彼がどうして姪という肉親の小娘と情慾を結ぶに至るかというと、彼みたいに心にもない取澄し方をしていると、知らない女の人を口説く手掛りがつかめなくなる。彼が取澄せば女の方はよけい取澄して応じるものであるから、彼は自分のポーズを突きぬけて失敗するかも知れぬ口説にのりだすだけの勇気がないのだ。肉親の女にはその障壁がないので、藤村はポーズを崩す怖れなしにかなり自由に又自然にポーズから情慾へ移行することが出来易かったのだと思う。
彼は姪と関係してその処理に苦しむことよりも、ポーズを破って知らない女を口説く方がもっと出来にくかったのだ。それほども彼はポーズに憑かれており、彼は外形的に如何にも新らしい道徳を探しもとめているようでいながら、芸者を芸者とよばないで何だか妙な言い方で呼んでいるというだけの、全く外形的な、内実ではより多くの例の「健全なる」道徳に呪縛せられて、自我の本性をポーズの奥に突きとめようとする欲求の片鱗すらも感じてはいない。真実愛する女をなぜ口説くことが出来ないのか。姪と関係を結んで心ならずも身にふりかかった処世的な苦悩に対して死物ぐるいで処理始末のできる執拗な男でいながら、身にふりかかった苦悩には執拗に堪え抵抗し得ても、自らの本当に欲する本心を見定めて苦悩にとびこみ、自己破壊を行うという健全なる魂、