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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

常にホンモノよりも深刻でマジメな顔をしているものなのである。いつか銀座裏の酒場に坂口安吾のニセモノが女を口説いて成功して、他日無能なるホンモノが現れたところ、女共は疑わしげに私を眺めて、あなたがホンモノなのかしら。ニセモノはもっとマジメな深刻な人だったわよ、と言った。

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私は世のいわゆる健全なる美徳、清貧だの倹約の精神だの、困苦欠乏に耐える美徳だの、謙譲の美徳などというものはみんな嫌いで、美徳ではなく、悪徳だと思っている。

困苦欠乏に耐える日本の兵隊が困苦欠乏に耐え得ぬアメリカの兵隊に負けたのは当然で、耐乏の美徳という日本精神自体が敗北したのである。人間は足があるからエレベーターでたった五階六階まで登るなどとは不健全であり堕落だという。機械にたよって肉体労働の美徳を忘れるのは堕落だという。こういうフザけた退化精神が日本の今日の見事な敗北をまねいたのである。こういう馬鹿げた精神が美徳だなどと疑られもしなかった日本は、どうしても敗け破れ破滅する必要があったのである。

然り、働くことは常に美徳だ。できるだけ楽に便利に能率的に働くことが必要なだけだ。