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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

自由といっても惚れる自由もあれば、それを拒否する自由もある。平等などと一口に言うが、個という最後の垣に於て人は絶対に平等たり得ぬものである。賢愚、美醜、壮健な肉体もあれば病弱もあり、強情な性癖もあれば触れれば傷つく精神もあるのだ。憎しみもあれば怒りもある。軽蔑もあれば嫉妬もある。人間というものを机上にのせて、如何なる方程式だの公理によって加減乗除してみても、計算によって答がでてくるシロモノではないのだ。しかも人生の日常の喜怒哀楽というものは此処に存しているのであって、社会機構というものは仮の棲家にすぎず、ふるさとは人間性の中にある。之なくして人間に生活はない。

ひところ友愛結婚などということが言われて、夫婦が恋人に、恋人が複数の友達に変化するような一部の流行があったけれども、為政家が人間性というものに誠実な考察を払うなら、これらのことは社会制度の根柢に於て考慮せらるべき重要な問題となるであろう。なぜなら人の真実の生活や幸福がそこに存しているからである。為政家が社会制度のみを考えて人間性を忘れるなら、制度は必ず人間によって復讐せられ、欠点を暴露する。