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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页
思うに小林の文章は心眼を狂わせるに妙を得た文章だ。私は小林と碁を打ったことがあるが、彼は五目置いて(ほんとはもっと置く必要があるのだが、五ツ以上は恰好が悪いやと云って置かないのである)けっして喧嘩ということをやらぬ。置碁の定石の御手本通りのやりかたで、地どり専門、横槍を通すような打方はまったくやらぬ。こっちの方がムリヤリいじめに行くのが気の毒なほど公式的そのものの碁を打つ。碁というものは文章以上に性格をいつわることができないもので、文学の小林は独断先生の如くだけれども、本当は公式的な正統派なんだと私はその時から思っていた。然し彼の文章の字面からくる迫真力というものは、やっぱり私の心眼を狂わせる力があって、それは要するに、彼の文章を彼自身がそう思いこんでいるということ、そして当人が思いこむということがその文学をして実在せしめる根柢的な力だということを彼が信条とし、信条通りに会得したせいではないかと私は思う。
彼の昔の評論、志賀直哉論をはじめ他の作家論など、今読み返してみると、ずいぶんいい加減だと思われるものが多い。然し、あのころはあれで役割を果していた。