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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:堕落論〔続堕落論〕、悪妻論、意慾的創作文章の形式と方法、インチキ文学ボクメツ雑談、咢堂小論、教祖の文学、戯作者文学論、デカダン文学論、文章の一形式、武者ぶるい論、文字と速力と文学、余はベンメイす。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 页

青空文庫

全然素人で、浅草の芝居を見て、こんなものなら自分も作れると思ったというのだが、自分で書きたいという脚本の筋をきくと、愚劣千万なもので話にならない。こういう素人は、自分で見てつまらないと思うことと、自分で書くことは別物だということを知らない。つまらないと思ったって、それ以上のものが書ける証拠ではないのだが、怖れを知らない。自分を知らない。

夏目漱石を大いにケナして小説を書いている私は、我身のことに思い至って、まことに、暗澹とした。まったく、人を笑うわけに行かないよ。それでも、この人よりマシなのは、私は人の作品を学び、争い、格闘することを多少知っていたが、この人は、そういうことも知らない。何を読んだか、誰の作品に感心したか、ときくと、まだ感心したものはないという。モリエールや、ボンマルシェや、マルセル、アシャアルを読んだかときくと、読んだことがないという。名前すら知らない。無茶な人だ。いつまでたっても帰らず、自分の脚本を朗読と同じように精密に語る。私は全く疲れてしまった。私はまったく、泣きたいような気持になってしまった。それは我身の愚かさ、なんだか常に身の程をかえりみぬような私の鼻息が、せつなくなったせいでもあった。