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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页
書記の小柴は一番手に入れ易い地位に居ることは申すまでもありません。食堂のガラスを外から叩き割ったのや、塀を乗り越えた跡の細工などは、どんなにでも出来ます。最後に、この部屋のカーテンの陰に隠れて、此場の様子を見て居るのが小柴とわかれば、もう疑う余地がありません。いきなり引捕えて、頭から脅かしてやっただけの事です。併し実によくたくらみましたよ。自分でクロロホルムを嗅いで、犯人に麻酔させられたように見せる位の曲者ですから、馴れた筈の私でも、もう少しで一杯引っかけられるところでしたよ」
斯う説き進めて来る花房一郎の態度には、淡々として何んの誇らしさもありません。
「有難う花房君、お蔭で何も彼も無事に済んだ」
園田氏は椅子から起って、心からなる感謝の手を伸べます。
「イヤ園田さん、まだ一つ済まない事があります」
花房は意地悪く手を引込め乍ら、園田氏の顔を仰いでツケツケと言います。
「まだ一つ? ――」
「どうぞ私の無礼をお許し下さい。――もう一つ済まない事と申すのは、お嬢さんと高城君の問題です」
「…………」
「高城君は稀に見る人格者で、お嬢様のお配偶として決して恥しい人物ではありません。