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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
……確証がほしいのです。明智君、確かな証拠を見せて貰おう。君もこれ程僕を侮辱したからには、まさか証拠がない筈はなかろう。それを見せたまえ、サア、それを見せたまえ」
「証拠ですか。よろしい、今お目にかけましょう」
明智はチョッキのポケットから時計を出して、眺めながら、
「話に夢中になっている間に、もう一時間半もたっています。宗像君、君が電話をかける為にこの部屋を出てから、もう一時間半もたってしまったのですよ。ハハハ……、一時間半の間には、随分色々なことが起っているかも知れませんね。……オオ、ボーイがやって来た。手に紙片を持っている。多分僕の所へ来たのでしょう。証拠が車に乗って駈けつけて来たのかも知れませんよ」
明智は冗談のように笑いながら、その白服のボーイの手から小さな紙片を受取って、そこに書いてある鉛筆の文字を読み下した。
「やっぱりそうでした。丁度うまい所へ証拠がやって来たのです。ではすぐここへ通してくれ給え」
ボーイが立去ると間もなく、明智の言葉の意味を解し兼ねて、不審げに入口を見つめる人々の視線の中へ、先ず現われたのは明智の助手の小林少年であった。