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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
「どうもしていないが」と宗兵衛は答えた、「なにか用でもあるのか」
「いや」直衛は首を振った、「なんでもない、ちょっときいてみただけだ」
そして彼はそこを去った。
中一日おいて九月十二日、午前十時に白洲がひらかれた。朝のうち降っていた小雨はやんだけれども、空は雨雲で蔽われていて、いつまた降りだすかわからないような空模様であった。――直衛は書役を三人にし、要屋の主人、番頭、手代ら一人ずつの口書を、分担して取るように命じた。刻限まえに朝倉摂津も来たが、ひどく不機嫌で、下吟味などにどうして自分が陪席しなければならないのかと、直衛に向って文句を云った。
「下吟味というのは名目、これはもうお裁きなのです」と直衛は答えた、「だから、そこのお白洲を使うわけです」
「なんのためにそんな細工をする」
「このお裁きは私がお受けをし私の方法でおこないます」と直衛は云った、「なんに限らず、お裁きについてのお口出しは無用に願います」
そして摂津には構わず、与力の席や白洲の人配りなど、こまかいことに詳しい指図をした。同心や警護の下役人たちの数は、これまでに例のないほど多く、城代家老が臨席するというので、白洲にはおもおもしい緊張がみなぎっていた。