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せいじがくにゅうもん
政治学入門
矢部 貞治
「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页
とか「現実政略」とかいうものが重要性を持つ。いろいろの策略とか術策とか謀略とか、時には欺瞞や威嚇や暴力やテロすらも行われるのである。この場合目的のために手段を選ばぬということは、一般に悪いことだとされているが、同時に手段のために目的を忘れるのも、政治としては愚かである。政治では、何が基本目的で何がそのための政策的手段かの、本末がはっきりと把握されることがたいせつである。政策的な手段は決して真空の中の不動のドグマではなく、現実の情勢と条件の変化に応じて変化せざるを得ない。堅持せられねばならぬのはその基本目的である。客観情勢がどんなに変化しても、一つの政策を頑固に固執していると、基本目的が失われる危険がある。そうなると正に本末転倒である。
以上のことは、政治そのものの本質としていえるのみならず、実は政治学の本質についてもいえることであるし、同時にそれがまた政治家の立場でもある。単なる美しい理想論も単なる現実の認識も、政治の理論にはならない。政治学は宗教学や倫理学でも、社会学や心理学でもない。政治学はあくまでも、現実の基礎の上に立ってしかも目的理想の実現を考えねばならぬ。