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せいじがくにゅうもん
政治学入門
矢部 貞治
「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页
政治を欠くことができない。すなわち政治には必ず対立抗争の要素が前提になっているのである。
しかしまた他方では、ただ対立と分化だけしかないというところにも政治はない。対立と抗争だけで統一や組織化という要素のないところは、無政府状態であってすなわち「無政治」ということである。政治は対立、分化、相剋、抗争を前提とはしているが、それだけでは政治はないのであって、それらを統合して一体的な意思と秩序を作ることが政治なのである。カール・シュミットは政治の本質を、「人間を味方と敵に分ける」ことだとし、闘争こそが政治の本質だというが、これは上に説くような意味で偏面的な見方である。
闘争や戦争そのものは政治ではなく、かえって政治の否定ですらある。戦争そのものが政治なら「外交」は存在する余地はない。政治の政治たる本質は、対立や闘争を含みながらも、あくまで一体的な意思と秩序を形成するところにある。武力行使の可能性を予想しながらも、なるべく平和な交渉によって何らかの合意に達しようとするのが「外交」であり、そのような意思または秩序を形成するための戦争であって、初めてクラウゼヴィッツのいうように「戦争は別の手段をもってする政治の継続」