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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
04 第四分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页
「これに処す御意見は」
と、たずねた。
家康は、言下に、
「姉川を挟んで、野戦に勝敗を決するしかありますまい」
と、答えた。
信長の思うところもそれだった。家康は、自身、先陣を承ろうと進んで希望した。信長は謝して、
「それにしては、お手勢だけでは少ない。わが直属の兵を割いて、参加させよう」
と、いった。
「いや、大兵は要りません。……左様、然らば御意にあまえて、稲葉一鉄の一隊を拝借しましょうか」
家康は、そう答えた。
家康の眼に選ばれた稲葉一鉄は、武門の誉れと、手兵一千をさげて、三河勢に合体した。
信長はまた、家康に、
「これは、源氏にゆかりのある一槍です。源家の末裔たるあなたに贈ろう」
と、「為朝」という銘のある鑓を彼に与えた。
織田軍には、徳川家の援軍が来て加わった。
浅井方にもまた、朝倉勢の加勢がそこまで来ていた。
藤吉郎は、横山攻めには遅れて、後から参陣した。
彼は、浅井方の苅安城、長比(長競)城、不破郡松尾山の長亭軒の城など、味方にとって、最も怖るべき後方の諸城を陥し、前線と岐阜との通路と、その安全を確保するために、遅れたのであった。
それらの厄介な敵は、多くが江州と美濃の境に蟠踞していた。