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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

04 第四分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页

青空文庫

と、数珠をあげて催促した。

「では。――今、お札を頒けてあげるが、静かに、われがちにならないで、順に待っておいでるがいい」

演者の法師が、そういって石を降りると、ほかの三名が、

「これを、屋の内に貼って、朝夕一向に念仏すれば、疫病はまぬがれる。そして七月か八月頃、自然のお札焼が始まるから、その時は、疫病焼のお手つだいに、おまえ方も集まって来い。風のつよい夜、岐阜の諸処から火の手があがる。それがお報らせじゃ。疫病焼がすんでの後は、斎藤家時代よりは、もっと安楽な御政治が布かれよう」

おまもりと称する小さい紙きれを、群集のひとりひとりに渡すたび執こくいって聞かせるのだった。忽ち雪の撒かれたように、多勢の手に一枚一枚持ち去られてゆく。

「わしにも」

うばい合う肩と肩のあいだから、勝家も手をつき出した。

ほかの僧と一緒に、札配りをやり出した雄弁法師が、何気なく、その手へも一枚つかませると、勝家の手は、咄嗟に彼の腕くびを捕えて、

「売僧ッ」

ずるずると人ごみの中から引きずり出し、勢いを与えておいて、いやという程、大地にたたきつけた。

「あッ、今の坊さんが」

「捕まったッ。