轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
02 第二分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页
(いや、わしは年若じゃが、城代は御老人。諸事古老のおさしずもうけねばならぬ。本丸はそのままにおくように――)
といって、滞留中、二の丸にいて、父の法事なども営んですましたという。
このことは、義元も後で聞いて、
(年に似げなく、分別の篤いことである)
と、すこし不愍そうにつぶやいたそうである。
だが、やはりその時のことで、も一つ、これは義元も知らないことがあった。
竹千代の父広忠の代から仕えている者で、鳥居伊賀守忠吉という老人がいた。年ももう八十を越えた三河武士であったが、竹千代が岡崎逗留中の一夜、そっと、梓の腰を運んで目通りを乞い、そして幼君へ向って沁々というには。
(爺の身も、ここ十年の余、今川家の一役人に異ならず、賦税の取り立てを役目として、牛馬のような勤めをいたしておりますが、年来、忍び忍び心がけて、お庫の内には、爺が御被官の眼をぬすんで蓄えておいた粮米や金銭がござりますぞ。いつこのお城に孤立してお籠りなされようとも、弾薬や鏃も戦うほどは匿してもありまするぞ……ゆめ、お心ぼそく思し召されな。大志をお失いなされますなよ)
竹千代は、それを聞いて、爺よ、とばかり忠吉の手を取って泣き、忠吉もしばし泣き暮れたということであった。