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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
02 第二分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页
台所をのぞいてみると、まるく肥えた下婢が、水仕事をしていた。
「さしずめ、手前どもの村から、連れて来た下女。ご不自由でしょうから、当座でも、お使いなすってみて下さい」
と、いう。
藤吉郎は、図にのって、
「ついでに、中間と、用人がわりの、老人一名雇いたいが、いいのがあったら、世話してくれ」
そんなことを云いながら、車座になって、新宅開きの宴が始まった。
(きょうはここへ来てみて、いいことをした。もし主人のわしが見えなかったら)
と、藤吉郎も、密かに恐縮していた。自分は暢気とは思っていないが、どこかに多少は、そんな点もあるかなと思った。
無礼講。
飲むとなれば、これはいうまでもない。ふだんが、礼儀がたいだけに、酒の折は、ひどく素裸な人間性を互いに見せ合う。
これは、この国だけの、地侍の風儀ではない。公卿もそう。室町の公方の武家たちもそう。総じてその頃の酒席の風だった。
隠し芸が出たり、猿楽舞のまねして、箸で器物を叩いたりしていた。
すると、近所に住んでいる同役の妻女が、門口へ歓びを述べに来て、帰って行った。
「おい木下殿。御当家の主人」
「なんだ」
「何だじゃない。