轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

02 第二分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 页

青空文庫

「御免」

と、馬上の信長へ捧げた。

信長は数珠をうけ取ると、自身の肩から斜めに胸へ掛けた。それは銀色の大数珠で、彼の着用している萌黄縅しの死の晴着を、なおさら壮美に見せた。

「惜しや、近江も大学も。死出は共に今日の日ながら、信長が働きを、一眼見せもせぬ間に先へ死なしたるは!」

馬の鞍上に、信長は、居住いを正して、そう云いながら、合掌した。

鷲津、丸根の黒煙は、火葬場のようになお、彼方の空を焦がしていた。

「…………」

凝視の眼を、ややしばらくして、刮と後ろへ向けると、信長は、われも忘れたかのように、鞍つぼ打って、

「きょうは、永禄三年、五月十九日にてあるぞよ。信長はじめ、そち達の命日と覚ゆるなれ。平常微禄を与え、これとてよき日も見せぬまに、今日の武運にめぐり合うも、信長に随身なしたる宿命とこそ思い候え。ここより一歩先へ従い来る者は、信長に生命をも与えくれたる者と見ん。さはいえなお、今生に未練ある者は、憚りなく立ち退くがよし。――如何にや、各※(二の字点、1-2-22)」

高らかにいうと、

「なんとて!」

異口同音に、将兵は応じた。

「わが君をのみ、死なすべき。