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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

飯を喰べようと思いますが」

台所方の小者たちは、異様な男がいきなり覗き込んだので、びっくりして、一応みな日吉の顔を見まもった。

「何だ。どこから一体、降って来たのだ」

「こちらの殿様が、来いと仰っしゃるので、途中からお供して来た者でございます。田圃で採った田螺を煮て、それを菜に喰べようと思いますので」

「田螺かい、その苞は」

「腹のくすりだそうで。毎日、田螺は喰べることにしています。生れつきか、ややともすると、すぐ下痢をやりますので」

「味噌煮だろ。味噌はあるのかい」

「持っております」

「玄米は」

「玄米もございます」

「では、小者部屋の炉に、鍋も火もあるから、そこでやれ」

「ありがとうございます」

毎夜、木賃でやる通りに、少量の玄米を炊き、田螺を煮て、飯をすました。

腹がはると、眠ってしまった。厩よりは寝心地がいいので、そこに寝た。するとやがて、夜半近くに、御用のすんだ小者たちが帰って来ると、

「この野郎。誰に断って、こんな所へ寝ていくさるか」

と、蹴とばして、忽ち、戸外に抓み出された。

で、元の厩へ行ってと思ったら、そこには、使者のお馬が、

(その方などの家ではない)