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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

では、この方から切り出すが、きょう歩いた山の雑木台帳、これへ見せてくれい」

「どうぞ御覧遊ばして」

「ふム、明細じゃの。木の数はこれで相違ないのか」

「相違ございませぬ」

「これで炭薪八百石御上納とあるが、これだけの山で、この石量になるのか」

「昨年よりは、お納めの額が減りましたので、今日、御検地の山の分で、左様になりますわけで」

翌朝、商人たちが、お奉行の御機嫌伺いというので来てみると、藤吉郎は、朝まだ暗いうちに起きて、山へ行ったというので、驚いて彼らは山へ追って行った。

見ると。

藤吉郎は、足軽や附近の木樵百姓などを督励して、各※(二の字点、1-2-22)に三尺ほどに断らせた縄束を持たせ、買入れの契約をした山一帯の樹木の根に一筋ずつその縄を結い付けさせていた。

縄数は最初に何千本と分っていた。それが終って、残部の計算をしてみると、立木の数がすぐに知れる。台帳に記載してある立木の数と、実際の数とを照し合わせてみると、ほとんど、三分の一以上も、数量には懸値があった。

「商人どもを皆ここへ呼び集めろ」

藤吉郎は、木の切株に腰をすえて、下役の者に吩咐けた。

商人たちは、平伏した。