轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
謙作はちょと女の顔を見てから入口の方へ歩いて往った。そこには磨りガラスのように埃の白く附着したガラス戸が彼の来るのを待っているように、ハンドルがはずれて口を細目に透けていた。彼はそのガラス戸を軽い気もちで開けた。
見附に受附のような出っぱった室の窓ガラスが見えて、中に肥った頬ペタの赧い老婆が鼻眼鏡のような黒い紐の附いた玉の大きな眼鏡をかけて、横向になって表紙の赤茶けた欧文の小本を覗いていた。その室の右にも左にも微暗い板の間があって、その前に梯子の階段が見えていた。謙作は右の板の間の端についた棕櫚の毛の泥拭いで靴の泥を念入りに拭ってからゆっくりと階段をあがって往った。
彼はそうして白い煉瓦の階段を一段一段あがりながら、うっかり女の誘惑に乗ると帰りの旅費まで無くする恐れがあるので、めんどうと見たなら茶代に相当する物を置いてさっさと逃げだそうと思った。彼はそうして宜い考えの浮んで来る己の頭に、快い満足を感じながら二階の廊下に出た。
微暗い窟穴のような廊下の前に一処扉が開いていて、内から射した明るい燈が扉を背で押すようにして立っている者を照らしているところがあった。