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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
「それじゃ、素行でもわるいのか、演劇なんかへ往ってると、俳優と関係があるとかなんとか、人はへんなことを云いたがるものだよ、何かそんな噂でもあるのか」
「そりゃ聞かないが、あんな女だから、そんなことを云われてもしかたがないよ、困った奴よ、児は小さいし、もし、兄貴でも死んだら、どうなるか判らないからね」
「兄さんが死んでも君がありゃ、大丈夫じゃないか、君が広坊の後見をして、しっかりやるなら、なんでもないじゃないか、それとも姉さんが、君を邪魔者にして、兄さんにたきつけるのか」
「そうでもないが、姉貴はじめ、家の雰囲気が厭なんだ」
「そうか」賢次はふと考えて、「君、いっそお媽さんをもらって、別家したらどうだ、気もちがかわって、いいじゃないか」
「俺は、今、細君をもらう気がしないのだ」
「何故だ」
「何故と云うこともないが、もらう気がしない」
その時階下から嬰児の泣き声が聞えて来た。それは賢次の児であった。賢次はとうに妻帯して二人の児があった。
「児が出来て、ぴいぴい泣かれちゃ困るが、君は、お媽さんをもらうといいと思うね、そうすりゃあ気もちがかわって、いいよ、今晩だって、沙利の上なんかに寝てて、体をこわすよ」