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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

「人間と判っとるなら、おかっぽれかも判らないが、それがへんだよ」

「どうしたのだ」

「それがおかしいのだ、まだ寒い時、俺が今往ってた榎の傍を通ってると、二十七八の上品な佳い女が通ってたのだ、夜一人で通ってるから、どこかそのあたりの人だろうと思っていると、鵜を見た日なんだ、くたびれたから、休んでると、へんな奴が二人来て、俺を盗人が午睡してると云うから、撲りつけて諍闘になったところへ、その女が来て仲裁してくれたのだ、それで俺は八幡様を出て来たものの、その女の素性を確めようと思って、引返してみると、女はいないで、諍闘の時にいた社務所の爺さんが、拝殿の横に腰をかけて、仮睡してたから、聞いてみると、あれは水神様だ、人間じゃないと云うのだ、それだよ、夢に出て来たのは」

「君んとこは、すこしへんだぜ、蛇が出て来たり、蟻の塔が出来たり、どうかしてるのじゃないか、神様が出て来て諍闘の仲裁なんかするものか」

茶かすつもりであった詞の端に何か神秘的なものがつながった。賢次は洋燈へ眼をやった。心の切りようでもわるいのか、洋燈は火屋の一方が黒く鬼魅わるく煤けていた。広巳はその時頷いた。