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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
「いけねえ」
「そうか」岡本は頷いて八千代に顔をやり、「それじゃ、また、あっちで遊んでてくれ、何か喫いたいものがあるなら、姐さんにそう云うがいい」
「それじゃ、あっちへ往ってもいいのですか」
「いいとも」
女はすぐ出て往った。半ちゃんは女の坐っていた処へ往って坐った。
「豪いことがある」
半ちゃんは緊張していた。
「なんだ」
「なんだって、豪いものを見つけた」
「どんなことだ」
「どんなって、こいつあ、金の蔓だよ」
「そうか、云ってみろ」
「鮫洲の山田って云う家を知ってる」
「山田、どうした家だ」
「それ、地主で、家作持で、商売もしてる、鮫洲の大尽と云や、あの界隈じゃ、知らない者はねえぜ」
「ああ、鮫洲の大尽か、知ってる、主翁は脚がわるいと云うじゃないか」
「そうだよ、俺は知ってるのだ」
「それが、どうした」
「どうの、こうのって、大将、彼奴の細君さんが」声を落して、「男を伴れて来てるのだぜ」
岡本の眼に光があった。岡本の鼻は半ちゃんの鼻にくっつくようになった。
「男は、どんな奴だ」
「俳優だな、したっぱの、品川あたりで見かけたことがあるのだ」
「壮いか」
「二十二三と云うところだ」
「二人で宜しくやってるのか」