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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

壮い男とお杉を見て、「どうだ、馬の脚と婆あ、これでやられたら、婆あもそのあたりにはいられなくなるし、馬の脚は、もう東京附近では、馬の脚もできないことになるぞ」

岡本は何か考えついた。

「よし、こんな手合に云ったところで、判らない、以後こう云うことをしないと云う一札を執って、追っぱらえ、うす汚い婆あや、へんな奴がいちゃ、せっかくの酒が拙くなるのだ」

松山も同感であった。

「それがいい、一札を執って追っぱらおう」壮い男を見て、

「おい、小厮、てめえは、字が書けるか」

壮い男は口が硬ばっていた。

「野郎返事をしないか」

半ちゃんがいきなり起って往って、壮い男の横っ面を撲りつけた。岡本はそれを止めた。

「待て、待て、半ちゃん、そんなことをしてもしかたがない、待て」

「この野郎、生意気だ」

「まあ、いい、坐れ」

半ちゃんも対手が反抗しないのに続けて撲ることもできなかった。半ちゃんは己の席へ帰った。松山は半ちゃんの席へ帰るのを待っていた。

「小厮、痛い目に逢わないうちに、返事をしろ、字が書けるか」

「書けます」

「そうか、それじゃ書け、婆あは、どうだ、婆あは書けまい」

お杉は文盲であった。