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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
「それは、今も申しましたように、親類の者とも相談しまして、そのうえで話をつけます」
「話をつけるとは、うやむやにして、そのままにするつもりだろう、そうはいかねえや」
広栄は困ってしまった。
「そ、それでは、どうしたら」
「人の亀鑑になる者だ、社会風教上、よろしくない、叩きだせ」
「それは、私も、いざとなれば、離縁するなり、なんなりいたしますがいろいろ事情もありまして」
「事情じゃなかろう、ほれてるから、踏みつけられても、尻にしかれても、どうすることもできないだろう」
半ちゃんがまた口をそえた。
「そうだよ、鼻の下が長いのだ、この野郎は」
「そうだよ、だから、俺だちの義侠心も思わないで、ふざけたことを云ってるのだ」広栄を見て、「野郎、どうだ、どうするのだ」
広栄はもう詞が出なかった。松山はたたみかけた。
「どうするのだ、おい、野郎、媽あを叩き出すか、俺だちの義侠心を踏みにじるか」
襖がずらりと啓いて定七が出て来た。
「もし、失礼でございますが、私から、ちょっとお話をあげたいと思いますが」
松山はじろりと定七を見た。
「汝は何人だ」
定七は広栄の右側へきちんと坐った。
「番頭のようなものでございます」