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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
「野郎」
広巳はどこまでもと松山にせまった。松山はとてもかなわないと思ったのか、くるりと体を返して逃げようとした。
「待てっ」
広巳は飛びかかって円木棒を揮った。円木棒は松山の背に当った。松山は前方向けによろよろとなって倒れてしまった。
「ざまみやがれ」
広巳は松山を捨ててふり向いた。半ちゃんが起きあがって組みかかろうとした。
「この盗人」
広巳は丸木棒を横に揮った。半ちゃんはまた胴を打たれて横倒れになった。
川崎屋の奥まった室では、二人の客が話していた。一人はお高で一人は色の白いでっぷり肥った童顔の髭のある男であった。それは杉本と云う山田の地所や貸家を管理している裁判官あがりの弁護士であった。
室の中には明るい洋燈の光があった。杉本は童顔に愛嬌をたたえていた。お高はその時黙って杉本の盃へ酌をした。杉本はまたそれを黙って飲んだ。
「だから、もういいのだ、黙って僕と帰ってけばいい」ふざけるようにお高の眼を見て、「それで、仲なおりをすりゃ、いいじゃないか、夫婦喧嘩と西の風は、日の入りかぎりだと云うことがある、それでいいでしょう」
お高は意のある眼づかいをした。