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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
女は笑って聞いていた。
「ぜんたい、君はなんだね」
「べつになんでもありませんよ、あなたのような独身者ですよ」
「同じ独身者にしても、君の方はいろいろの芸を持ってるが、僕の方は、酒を飲むより他に芸はないのだ」
「あなたは、お酒がすきなの」
「好きだけれども、台所の残り酒しか飲まれないのだ」
「あなたは、暢気ね」
「暢気じゃないが、しかたがないよ」
「暢気が好いのですよ、私好きよ、まだお酒が飲みたいのですか」
「飲みたいね」
「じゃ、おあがりなさいよ、あなたにあげようと思って持って来たのですから」
「そうか、そいつはありがたいな」
真澄が起きあがってみると女の傍には膳があって、その上に一本の四合罎と三皿の肴が置いてあった。
「さあ、おあがりなさいよ、私がお酌をしてあげましょう」
女は四合罎の口を抜いて真澄の持った盃に注いだ。
「あなたは、ぜんたい何人ですか」
「何人でもありませんよ、そんなことは好いから、おあがりなさいよ」
「それじゃ聞くまい、聞いたところで、食客ではなんにもならないから」
「そうですよ、聞いたってなんにもなりませんから、聞かずにいらっしゃい、私が時どきお酒を持って来てあげますから」