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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
「指環をどうするの」
「叔母が、君と毎晩こうして話しているのを聞いて、病気で独言を云ってると、怪しからんことを云うから、君のことを打ち開けたが、それでもほんとうにしないから、証拠に、君から櫛か指環かを借りて、それを見せてやると云ってあるのだ」
「そんな、つまらんことは好いじゃありませんか、ほんとうにしなけりゃしない方が、今のうちはかえって好いじゃありませんか」
「叔母が失敬なことを云うから、見せてやろうと思うのだ、一晩貸して貰おう、好いだろう、一晩ぐらい、売って酒を飲むようなことはないよ」
真澄は笑いながら盃を口へ持って往った。
「では、明日の晩まで待って頂戴、明日の晩、好い方のを持って来ますから、これは駄目ですから」
「明日の晩じゃいけない、今晩でないと、叔母がばかにするから、好いだろう、証拠になりゃなんでも好い」
女は銚子を置いて左の指で指環の玉をいじりながら困った顔をした。真澄はつと手を出して女の右の手を掴んで己の方へ引き寄せた。
「好いじゃないか、何人かに叱られるのかね」
女は体をずらしてぴったりと真澄に寄り添うた。
「そんなことはないのですけど、これは、すこし理があって、ちょっとでも抜かれないのですもの」