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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

「あれからさっぱり来なくなったが、憤ったかね」

「憤りはしないのですが、あなたと別れる時期が来ましたから、もう往かなかったのですよ、でも、今晩は、お名残りに、私の家へ往って話しましょう」

「往っても好いかね」

「好いのですよ、何人も他にいないのです、私、一人ですから」

「じゃ、往こう、遠いかね」

「すぐですよ、いらっしゃい」

女は前に立って線路を横切って別荘地の方へ往った。真澄は酔った足を引きずって後から跟いて往った。

女はすぐ右側にある家の格子戸を開けて入った。

「ここですから、後を締めてください」

二人は玄関をあがって右手の電燈の明るい室へ入った。

「まあ、お酒を出しましょうね」

「今日はもう好い、うんと酔ってるから」

「では、また後にあげましょう、今晩はお名残に泊っていらっしゃい」

真澄は女と他愛のないことを話していたが、何時の間にか女が友禅模様のついたきれいな布団を敷いたのでそのまま横になった。

一睡りした真澄は非常に寒いので眼を覚した。彼は叔父の家の裏手になった丘の上の石の傍で寝ていた。