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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

と、云う懸声と共に暗い川の中へ身を躍らした。

藪だたみの中にある小さな祠の前に竹腰と道家が姿をあらわした。竹腰は木の根に縋って舟をおり、河の中に飛び込んだ道家を救いあげて、二人で舟を下流にやり、それからあがってきたところであった。

「これからどこへ身を隠そう」

「尾州へ往って、織田殿に身を寄せてもよいが」

二人は身のふり方に就いて相談しはじめた。竹の葉越には二つ三つの星が淋しそうにまたたいていた。

「は、は、は、は、は」

腹の底をさらけだしたような笑い声が鼻の前で起った。二人はびっくりして眼をった。そこにはよぼよぼした老人の姿があった。老人は己の背たけよりも長い杖にすがっていた。

「魔者を討もらしたか、あれは、お前さん達の手にはちょと合わないよ、眼に見えない電光が閃いて、二人は殺されてしまったな、かあいそうに、だが、銀色の眼のきろきろ光る蟇は見たろうな」

と、云って老人はまた笑って、

「しかし、魔者は何時までも増長することはできない、月に暈がかかって、北斗の七星に白蛇のような光がかかったのを見たら、翌朝、陽の出ないうちにここへ来るがよい、きっと思いをとげさしてやる」