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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
そして、やっとの思いで林を出てみると、広い草原のむこうに円い真紅な月が出ていた。
月を見ると道家は、すぐ老人の詞を思いだして暈に注意したが、うっすらした靄はあったが暈はなかった。道家はまたその草原の中を歩いた。草原には荊棘が閉じ、雑木の枝が横わっていて歩けなかった。
道家はひどく疲労を感じて来た。腰の皮籠には用意の獣の乾肉があるので空腹は気にしなかった。道家はどこか祠でもあれば一と眠りして帰ろうと思いだした。彼は眠れるような場所はないかと思って注意しいしい歩いた。
草の中から流れ出た小さな清水の流れがあった。喉のかわいている道家はいきなり蹲んで流れに口をつけた。そして、思うさま飲んで顔をあげたところで、すぐ眼のまえの樹木の陰に一軒の小家があって、そこから焚火の光がもれていた。道家はひどく懐いのでそのほうへ歩いて往った。彼はべつにその家の中へ泊めてもらおうとは思わなかったが。
一人の老婆が炉の側へ坐って炉にかけた鍋の下を焚いていた。そして、その老婆の後の方には顔の白い一人の女が坐っていた。
「そつじながらお尋ねする、拙者は猟に往って路に迷った者じゃが、ここは何と云う処じゃ」