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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

傍には彼の年増が小さくなって俯向いていた。

「おまえさんは、どうした人間だい、まごまごしよると、そのままにはおかないよ」

道夫は恐ろしいのでそのまま飛び起きて走り出た。そして、どこをあてどもなしに走って、やっと気が注いたところで、そこに板屋根の小窓から威勢のいい燈の見えている家があった。

道夫は安心してその窓の方へ寄って往った。そこは小さな鍛冶屋の工場で、の火がかんかんおこっている傍に、銀のような裏白な髪をした老婆がいた。それは鉄の焼けるのを待っているような容であった。

「もし、もし、――町へは、どう往ったらいいでしょう」

老婆はぎろりと眼を光らして、黄ろにしなびている頤を右の方へ一二度突きだした。道夫は鬼魅がわるいので、もう何も云わないで老婆の頤で指した方へ往った。と、すぐ見おぼえのある――町へ出て下宿へ帰ることができた。翌日になってその画家は老婆の家から牧場、牧場の中の怪しい家を探したが、そんな家もそんな場所もどこにもなかった。

後になってその画家は、その土地のことに明るい人から、昔、そのあたりは馬小舎があったと云うことを聞いたが、それ以外には何も判らなかった。