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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

「実に奇怪千万じゃ」

太郎左衛門は腕組をして考えた。

翌日、太郎左衛門は病気と云って、己の室から出なかった。と、午近くなって壮い女が来た。

「御病気と承りましたが、如何でございますか」

女は無邪気な顔をしていた。

「女は知らないらしいぞ、そうすると昨夜のは夢であったかな」

と、太郎左衛門は思った。夢とすると非常に無理を感ずるところがあったが、そのかわり女に対する羞恥の情は薄らいだ。

「なに、病気と云う程でもないが、すこし気分がすぐれないから、こうしておるところじゃ、私よりゃ、お乳母さんの方は、どうじゃ」

「やっぱり体の疲れが癒らないで困ります、持病はすっかり癒っておりますに、どうしたと云うのでございましょう。ほんとうに旦那様や奥様に対して、なんとも申訳がございません」

「なに、何時も云うとおり、そんな遠慮は入らない、私の家はべつに小供はなし、浪人暮しで窮屈な思いをするところもないし、遠慮せずにゆっくり養生をさして、それから出発せらるるが宜い、それともお前さんの都合で、一生ここにおりたいと云うなら、世話をしてあげても宜い」

「ありがとうございます、まだ一度も逢ったことのない叔母を便って往くよりは、御当家のような処で、婢端女のかわりに使われて、一生を送りとうございますが、まさかそんなお願いもできませず」