轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ほんじょりょうごく

本所両国

芥川 竜之介

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月6日〜22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,005 字 · 43 页

青空文庫

が、僕の伝えたいのは先生の剣道のことばかりではない。先生は又食物を減じ、仙人に成る道も修行していた。のみならず明治時代にも不老不死の術に通じた、正真紛れのない仙人の住んでいることを確信していた。僕は不幸にも先生のように仙人に敬意を感じていない。しかし先生の鍛錬にはいつも敬意を感じている。先生は或時博物学教室へ行き、そこにあったコップの昇汞水を水と思って飲み干してしまった。それを知った博物学の先生は驚いて医者を迎えにやった。医者は勿論やって来るが早いか、先生に吐剤を飲ませようとした。けれども先生は吐剤ということを知ると、自若としてこういう返事をした。

「山田次郎吉は六十を越しても、まだ人様のいられる前でへどを吐くほどもうろくはしませぬ。どうか車を一台お呼び下さい。」

先生は何とかいう法を行い、とうとう医者にもかからずにしまった。僕はこの三、四年の間は誰からも先生の噂を聞かない。あの面長の山田先生は或はもう列仙伝中の人々と一しょに遊んでいるのであろう。しかし僕は相変らず埃臭い空気の中に、――僕等をのせた円タクは僕のそんなことを考えているうちに江東橋を渡って走って行った。