轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
顔をあらぬ方に向けて、耳の神経だけを四人の話声に集中しているといった恰好である。四人は、誰からともなく、口をとじてしまった。
ちらほら見送りの人が見え出したころ、朝倉先生が人力車で乗りつけた。そして見送りの人たちと挨拶を交わしていると、いきなり、その男が、横から割りこむようにして、先生に一枚の名刺をつき出し、何か小声でささやいた。先生はちょっと困ったような顔をして俊亮の方を見たが、そのまま、その男といっしょに駅長室の方に行った。
そのあと、見送りの人たちがあとからあとからとつめかけた。朝倉夫人は、その一人一人に、「先生は」ときかれて、返事にまごついているようであった。また一方では、先着の見送りの人からつぎつぎにある秘密なささやきがつたわって、変に緊張した空気があたりを支配した。その空気は、俊亮や、恭一や、大沢たちには、発車時刻が近づいて一般乗客の混雑が大きくなるにつれ、かえってはっきり感じられたのだった。
改札がはじまった頃、朝倉先生はやっと駅長室から帰って来た。気のせいか、顔が少し青ざめており、いつもの澄んだ眼の底に、気味わるいほどの冷めたい光がただよっているように見えた。