轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
しかし、僕が座長の席を退くことは、同時にこの会議の席を退くことを意味するんだ。なぜなら、先生を侮辱したような人間を交えてこの会議を進めることは、諸君にとって迷惑だろうと思うからだ。ただ僕は、この席を退くまえに一言諸君に言っておきたい。それは、諸君にもっと時代というものを知ってもらいたいということだ。時代は今どういう方向に動いているか、それを知らないで、ただ自分の理想だけを追うていると、われわれは、ちょうど金塊を抱いて海の底に沈むような愚を演じなければならないのだ。朝倉先生のようにすぐれた人格者でさえ……」
「ぱか! 何を言うか!」
爆発するようなどなり声が、彼のすぐまえの席から起った。
「貴様は僕らにお説教をする気か。」
「青年はすべからく時代を超越すべし。」
「真理は、永遠だぞ!」
「卑怯者!」
「狸!」
「ひっこむなら、さっさとひっこめ!」
そうした叫びがつぎつぎに起り、中にはもう腕まくりをしているものさえあった。
平尾は土色になってしばらく立往生していたが、あきらめたように壇をおりると、その足でさっさと室を出ていってしまった。
一瞬、さすがにしいんとなって、みんなは彼のうしろ姿を見おくった。