轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
「日本評論 第十四巻第一号~三号」1939(昭和14)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 页
――もう一層なってしまうかな。お身はどう思う。こりゃ、答える訣にも行くまい。氏上に押し直ろうとしたところで、今の身の考え一つを抂げさせるものはない。上様方に於かせられて、お叱りの御沙汰を下しおかれぬ限りは――。
京中で、此恵美屋敷ほど、庭を嗜んだ家はないと言う。門は、左京二条三坊に、北に向いて開いて居るが、主人家族の住いは、南を広く空けて、深々とした山斎が作ってある。其に入りこみの多い池を周らし、池の中の島も、飛鳥の宮風に造られて居た。東の中み門、西の中み門まで備って居る。どうかすると、庭と申そうより、寛々とした空き地の広くおありになる宮よりは、もっと手入れが届いて居そうな気がする。
庭を立派にして住んだ、うま人たちの末々の様が、兵部大輔の胸に来た。瞬間、憂欝な気持ちがかぶさって来て、前にいる大師の顔を見るのが、気の毒な様に思われる。
案じるなよ。庭が行き届き過ぎて居る、と思うてるのだろう。そんなことはないさ。庭はよくても、亡びた人ばかりはないさ。淡海公の御館はどうだ。どの筋でも引き継がずに、今に荒してはあるが、あの立派さは。それあの山部の何とか言った、地下の召し人の歌よみが、おれの三十になったばかりの頃、「昔見し旧き堤は、年深み……年深み、池の渚に、水草生ひにけり」