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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页
が、そんなことは役に立たない。軍隊の様子を白状しろって、ますます酷く苛むです。実に苦しくって堪らなかったですけれども、知らないのが真実だから謂えません。で、とうとう聞かさないでしまいましたが、いや、実に弱ったです。困りましたな、どうも支那人の野蛮なのにゃあ。何しろ、まるでもって赤十字なるものの組織を解さないで、自分等を何がなし、戦闘員と同一に心得てるです。仕方がありませんな。」
とあだかも親友に対して身の上談話をなすがごとく、渠は平気に物語れり。
しかるに海野はこれを聞きて、不心服なる色ありき。
「じゃあ何だな、知ってれば味方の内情を、残らず饒舌ッちまう処だったな。」
看護員は軽く答えたり。
「いかにも。拷問が酷かったです。」
百人長は憤然として、
「何だ、それでも生命があるでないか、たとい肉が爛れようが、さ、皮が裂けようがだ、呼吸があったくらいの拷問なら大抵知れたもんでないか。それに、いやしくも神州男児で、殊に戦地にある御互だ。どんなことがあろうとも、謂うまじきことを、何、撲られた位で痛いというて、味方の内情を白状しようとする腰抜がどこに在るか。勿論、白状はしなかったさ。