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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页
二
二
時に海野は面を正し、警むるがごとき口気もて、
「おい、それでは済むまい。よしんば、吾々同胞が、君に白状をしろと謂ったからッて、日本人だ。むざむざ饒舌るという法はあるまいじゃないか、骨が砂利になろうとままよ。それをそうやすやすと、知ってれば白状したものをなんのッて、面と向って吾々に謂われた道理か。え? どうだ。謂われた義理ではなかろうでないか。」
看護員は身を斜めにして、椅子に片手を投懸けつつ、手にせる鉛筆を弄びて、
「いや、しかし大きにそうかも知れません。」
と片頬を見せて横を向きぬ。
海野はりたる眼をもて、避けし看護員の面を追いたり。
「何だ、そうかも知れません? これ、無責任の言語を吐いちゃあ不可ぞ。」
またじりりと詰寄りぬ。看護員はやや俯向きつ。手なる鉛筆の尖を甞めて、筒服の膝に落書しながら、
「無責任? そうですか。」
渠は少しも逆らわず、はた意に介せる状も無し。
百人長は大に急きて、
「ただ(そうですか)では済まん。様子に寄ってはこれ、きっと吾々に心得がある。しっかり性根を据えて返答せないか。」
「どんな心得があるのです。」
看護員は顔を上げて、屹と海野に眼を合せぬ。