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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
「太陽 第二卷第一號」1896(明治29)年1月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,039 字 · 25 页
五
せめて土産に敵情でも探って来れば、まだ言訳もあるんだが、刻苦して探っても敵の用心が厳しくって、残念ながら分らなかったというならまだも恕すべきであるに、先に将校に検べられた時も、前刻吾が聞いた時も、いいようもあろうものを、敵情なんざ聞こうとも、見ようとも思わなかったは、実に驚く。しかも敵兵の介抱が急がしいので、そんなことあ考えてる隙もなかったなんぞと、憶面もなく謂うごときに至っては言語同断と謂わざるを得ん。国賊だ、売国奴だ、疑ってみた日にゃあ、敵に内通をして、我軍の探偵に来たのかも知れない、と言われた処で仕方がないぞ。」
五
「さもなければ、あの野蛮な、残酷な敵がそうやすやす捕虜を返す法はない。しかしそれには証拠がない、強て敵に内通をしたとは謂わん、が、既に国民の国民たる精神の無い奴を、そのままにして見遁がしては、我軍の元気の消長に関するから、きっと改悟の点を認むるか、さもなくば相当の制裁を加えなければならん。勿論軍律を犯したというでもないから、将校方は何の沙汰をもせられなかったのであろう。けれどもが、吾々父母妻子をうっちゃって、御国のために尽そうという愛国の志士が承知せん。