轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たきぐち
滝口
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1963(昭和38)年11月〜1964(昭和39)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,815 字 · 99 页
――畠中の三通めの手紙は長文であった。出府して以来まる三十日以上にもなるのに、いつ帰国できるかまだわからない。みれんなようだがそろそろ国が恋しくなってきた。という書きだしで、「川普請の実状を報告すれば、それで用は済むものと思っていたが、幕府の役向きとの交渉にひとやくかわされてしまった。江戸屋敷の者だけでなく、国許の者が加わっていれば、訴願にも箔が付くということらしい。現に三回その交渉の席へ出たし、接待の酒宴ではとりもち役さえ勤めた。鶴井さんのことは以前から聞いていたけれども、実際に接してみて、その人柄がうわさを遙かに凌ぐものだということを知ってびっくりした」
そこまで読んだとき、家扶の沢井又二郎がはいって来た。広蓋の上に青竹の籠をのせたのを持っていて、いま使いの者がこれを届けて来たと告げた。
「使いの者が待っておりますが、いかが致しましょうか」
「中はなんだ」と安宅がきいた。
「松茸と鮎でございます」
「いま手が放せない」と安宅が云った、「あとで見るから受取っておけ」
沢井はなにか云いたそうにしたが、益村がまた手紙を読み続けるようすなので、しかたなしにさがっていった。