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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
肉体と肉体との接触から来る、麻痺的陶酔的の恍惚感、そればかりが目的であった。
で、彼女はどうあろうと、この京までの道中で、民弥を手中に入れなければと、そう決心しているのであった。
で、今夜も酒をすすめての、誘惑の手を延ばしていた。
二人の前には酒や肴が、かなり荒らされて置いてあった。
二人は酔っているのであった。
酔っていながらも松浦民弥は、絶えずそれとなく人形箱の方へ、視線を送り送りした。
「梶子殿」
と、とうとう云った。
「われらこのように酒などいただき、同じ部屋に起居いたし、外見から見ますると夫婦かのように――そのように仲よく見えまするが、まこと夫婦である女男の雛は、いつも狭い箱の中にこめられ、さぞ窮屈でござりましょうのう。ハッハッハッ、窮屈のようで」
子供のように他愛のないことを――こんなことを何気なげに云い出したのには、他に深い意味があるのであった。
そう云ってまず女男の人形を、箱の中より取り出してやろう。――という考えから云ったのである。
「まあまあ民弥様には、小娘かのような、何を他愛ないことおっしゃいますやら」
梶子は充分酔っていたので、胸もとをくつろげ膝なども崩しあでやかさをいっそうあでやかにしたが、