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あわだぐちしめすふえたけ(さわのむらさきゆかりのさきわけ)

粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)

三遊亭 円朝

02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,342 字 · 389 页

青空文庫

血を押え、ハッハッと息を吐く途端に、中矢切の総寧寺の勤めの鐘がゴーン/\と市川の流れに響いて聞えまする。二畳の室の反故張り障子の内で、小三郎が一節切を取って手向の曲を吹きました音色が、丈助の心耳へ聞えますると、アヽ悪いことをしたと、始めて夢の醒めた如く改心致し、母の手を握り詰め、ハッハッと外へ出るばかりの苦しき息をやっと遣う。

しの「目が醒めたか野郎、目が醒めたか、うぬ」

丈「ウーン……お母ア少し待ってくんな、余り強く遣ると己ア死んじまう、己の息が止っちまうと、若旦那さまのお尋ねなさる仇敵の匿れ家もお探しなさるお刀の手掛りも分るめえ、これまでの悪事のお詫ごとに残らず己がお話し申し上げてそうして死ぬから少し手をゆるめてくれ、ちイと手をゆるめてくれ」

しの「さアいってしまえ、汝エ知ってたらば残らずいッちまえ」

丈「ハッハッ、お母アお前のような正直ものゝ腹へ己のような不孝者が何うして胎ったかと、目が醒めて見りゃア、実に何うも済まねえことをした」

しの「済まねえ事をしたって今気イ附いたか」

四十三

丈「実は稻垣さまの処へ御奉公にあがってる内に、稻垣さまの下役に大野惣兵衞という奴が有ってノ、其奴が石川のお嬢さまに惚れて、時々己に鼻薬をくれちゃア種々頼むから、己も種々な悪事を諜し合わせている