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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

は行くから、東京見物でもさせて貰うて、渋谷で待っていたら、………ふん、そないしてもええなあ、………と、急にそう云う相談になった。

「どう、雪子ちゃん、明日の晩立って貰えるやろか」

「いろいろ買い物があるねんけど、………」

「明日じゅうに出来んやろか」

「さあ、………あんまり遅い汽車やったら悦ちゃんが睡がるやろうし、………明後日の朝早うに立っても間に合わんことないねんで」

幸子は雪子が、この場になっても一日でも多くこの家に泊っていたがる心持を、いじらしいものに感じながら、

「ほんに。そしたらまあ明後日のことにしてもええわな」

と、さりげなく云ったが、

「えらい早いお立ちやわな、この間来たばかりやのんに」

と、妙子がちょっと冷やかすような口調で云った。

「もっとゆっくりしてたいねんけど、悦ちゃんとペータアさんのためやったら、仕方ないわ。―――」

雪子は七月に出て来る時に、大体二箇月ぐらいは此方に置いて貰えようかと云う腹があったのに、明後日立たなければならないとすると、聊か当てが外れるので、内心萎げているところもあった。尤も今度は悦子が一緒だし、後から幸子も来ると云うので、ひとりで帰るような佗びしさはないけれども、幸子母子はそう長いこと滞在する筈はなく、悦子の学校が始まる頃には帰西するに違いないので、それから先、自分は又当分東京に